理念・挨拶
ご挨拶
●理事長 村上 恵一
常日頃、当院が多々お世話になり、御指導を賜っています皆様に深く御礼申し上げます。
私どもの多摩丘陵病院は、病々連携、病診連携、直接受診の別を問わず、より多くの方々のお求めに円滑にお役に立てることを目標として参りました。安心出来 る良質な医療、優しい看護を前提として、二次救急からリハビリテーションまで、さらには予防医学、訪問診療も行っています。
近頃、医療機関の機能特化がとなえられる世相ですが、受診する方にとっては、疾患、外傷など体の部分、時期ではなく、全体的、全人的医療が必要です。
本院は急性期対応にも各科の力を十分にそなえていますが、リハビリテーションについては二十数年来の高い水準の歴史をもつのが大きな特徴で、この分野ではより広い地域からの御要望にこたえて来ました。
今後とも地域の方々あるいは医療機関の皆様の御期待によりよくおこたえできる様、院内各科、全職員一丸となって医療サービス内容の向上に努力を重ねて参る所存ですので、よろしくお願い申し上げます。
村上恵一 経歴:
昭和30年 慶應義塾大学医学部卒 東海大学名誉教授、前 東海大学医学部リハビリテーション学教授、元 日本リハビリテーション医学会会長、元 厚生省医療関係者審議会委員、日本病院会東京都支部理事 リハビリテーション科専門医、脳卒中学会専門医、日本内科学会認定内科医、日本老年医学会専門医、循環器専門医、心身医学会認定医
●院長 今井 達郎
昨今の日本の医療事情につき私見の一部を述べ乍(なが)ら 私達の病院を御紹介致します。 多摩丘陵病院は医療法人という組織であり公立病院ではないものの 営利を目的とせず地域の皆様の健康維持・疾病治療を目的としている病院です。最近、医師不足や病院の倒産・閉鎖、後期高齢者医療制度、健康組合の破綻(はたん)・解散、救急車のたらい廻し、産科医の逮捕など 医療に関する暗い話題が絶えません。一方で「日本の医療費は世界一安い」とか「日本は世界一の最長寿国」であり「日本の医療制度は世界で最も優れている」等の評価も受けています。現在日本の医療で最も問題なのは病院組織の運営や、病院職員の意識改革等ではないように思います。勿論(もちろん)これについては日本中の病院が呻吟(しんぎん)しながら努力はしていますが、最も問題なのは医療行政であると思います。医療費・医療財政に関する問題ではないでしょうか。日本の医療費が世界一安いというのは皆様には実感が湧(わ)かないかも知れません。日本ではお産にかかる費用は約四十万円です。因(ちな)みに米国では四百万円かかります。最近、出産をひかえた妊婦の方が意識障害に陥(おちい)り 救急車で搬送(はんそう)されましたが 多くの病院に断られ 結局生命をおとすという事件がありました。福島県の病院では産婦人科医が独りで行わざるを得なかった分娩(ぶんべん)の際、癒着(ゆちゃく)胎盤(たいばん)の剥離(はくり)手術操作中に出血多量で妊婦を救命できず 逮捕されるという事件もありました。一般の皆さんには病院や医師に問題があるかのように思われたかも知れません。しかし私達医療関係者には「医療費の面でもう少し余裕があったなら」「少なくとも世界の標準ぐらいであったなら」と思わずにはいられません。意識障害に対処できる医師と、分娩の出来る産科医が複数同時に待機する救急病院が果たして日本にいくつあるでしょう。
先進二十数ヶ国の医療費の平均はおおよそGDP(国内総生産)の10%強です。日本のGDPは年間五百兆円ですから 医療には約五十兆円が必要そうだとお判(わか)り頂けると思います。ところが日本の医療費は年間約三十兆円なのです。その内訳は 病院窓口で支払われる患者負担が約三割で十兆円、医療保険として勤労者(会社)が支払う額が十兆円、国庫からの税金が約十兆円です。日本では何故(なぜ)こんなに安い医療費で 先進国にひけをとらない質の高い医療が出来るのでしょう。
クリントン大統領の時代に 米国の医療制度改革にのり出したヒラリー上院議員が調査員を日本に派遣しました。しかし一週間で帰国してしまいます。それは「日本ではあまりに医療にお金をかけていないので 全(まった)く参考にならない」「日本の医療は医師や看護師の犠牲のうえに成り立っている。 信じられない」というのが原因でした。現在でも日本では病院管理者・職員共々 先進国中最低の医療環境の中で喘(あえ)ぎ、呻(うめ)きながら毎日の職務に励(はげ)んでいます。医療の質や安全の確保さえ危惧(きぐ)されるところです。私達の病院も例に漏(も)れず 今年も苦しい経営状況の中、必死で知恵を絞(しぼ)っています。患者さんには明るく丁寧に接し、最高の医療を提供しようと 一致団結しています。職務が終わると 夜遅くまで会議や研修会を開き、最近は「病院機能評価」という病院の資格も取得しました。私は院長として 病院職員を叱咤(しった)激励(げきれい)すると共に、否(いや)、それよりも、医師会や病院協会の皆様と共に 行政に向かって運動しなければならない立場です。「医療の現場を真剣に考えて欲しい!」「質が高く安全で明るい病院の実現のため もっと予算を!」
幸い多摩丘陵病院の四百余人の職員は「生きる力を支え合い、ぬくもりのある医療と看護を提供します」という崇高(すうこう)な理念の下、医療人としての誇りを持って 献身的に病める人々の為に奮闘しています。近い将来、せめて世界標準の医療費の下、安全で高度で温かい医療が展開できるよう願わずにはいられません。今後共、皆様方の温かい御理解と御協力を宜しくお願い致します。
平成21年 7 月
今井達郎 経歴:
昭和49年慶應義塾大学医学部卒、同大学外科学教室/形成外科教室で研修、消化器外科/乳腺/形成外科を専攻
慶應義塾大学医学部客員教授










